モダンなガラスの回廊を歩みながら、目線は無意識にテラス水平面の低いレベルを漂うはずです。そうしたシテュエーションでもっとも効果的なのが水面のゆらぎと光のモザイク反射を五感に感じさせる演出。水鏡〜みずかがみ〜の表面からの微妙な光の燦めきは壁やガラス窓にも投影されるはずです。
タイル面が30ミリほど立ち上げたダークグレー色に塗布された鋼板のギリギリまで水が張られて、水の流れが微かな「動き」を感知させます。
右手には古風な蹲(つくばい)、その奥の小さな緑は苔あるいは吉祥草の小さなユニットが上品な緑を添えます。左手奥の白いプランターはシルクジャスミンの古木。モダンな空間でありながらも伝統の重みをそこはかとなく付加し、シャープな近代建築のテイストを逆により鮮明に印象づけます。小さく象徴化されたモダンジャパニーズの庭です。
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